バイクのならし運転の必要性
バイクは工場で組み立てられて出荷される、いわゆる工業製品になりますので、厳しい検査などを経てライダーの元に届けられます。
ですが、実際に外で走行してみないことには、外気温や振動、衝撃などにより不具合が生じる可能性は絶対にないとは言い切れません。
加えて新車で納品したてのときは、バイクのパーツもまだ他人同士のようによそよそしい関係でなじんでいませんので、穏やかに動かして各パーツのかみ合わせや関係性を深めていく必要があります。
いまはまだマシンの持つ性能を引き出せない状況なので、ベストコンディションへならすための作業、それが「ならし運転」です。
もちろんすぐに最大限の性能を引っ張り出すのではなく、丁寧に操作をしてパーツ1つ1つを安定させていくことがポイントとなります。
もちろんならし運転をしなければ壊れるという問題ではなく、その方が後々乗りやすくなるだろうという話です。
慣らし運転のやり方
ならし運転をする場合の決まりごととしては、「フルスロットルでは走らないこと」「できるだけ多くのギヤを使ってみること」「急停止・急な加速はしないこと」です。
回転数についてはタコメーター最大の半分までに決めておきましょう。
エンジンはいくつものパーツが複雑に組まれて構成されていますので、各パーツにあたりをつけ、極端な動き、急激な加速や減速はせずに動かしてみることが大切です。
もちろんエンジン以外のマシンも、ならすことで接続部分がなじんでいきますので、発進して加速、停止、旋回など基本的な作業を丁寧に行います。
ここで勘違いしがちなのが、ゆっくり走ってしまうことです。
ならし運転では走ることであらゆる部品を動かしてなじませることを目的としています。
ゆっくり走ってしまうと低速ギヤばかりで高速ギヤは使用されないことになります。
逆に高速道路で高速ギヤばかり使うのもならし運転にならないため、高速道路で距離を稼ぐような走り方はやめておきましょう。
適度にアクセルを開き、ギアチェンジも行いますが、ゆっくりではなく「丁寧な操作」を心がけましょう。
バイクだけではなく自分の体もならす
新車のバイクをならし運転することは、マシンの内部だけではなく、ライダー自身もバイクにならすことを目的にしています。
バイクの重さを体感すること、そして加速の具合やブレーキの効き目、減速の雰囲気、どのくらいバンクできるかなど、初めてのバイクの機能性をひとつずつ確認しましょう。
ならし運転をしないまま、いきなり急ブレーキや急発進などをすることは危険なので、ならし運転を忘れずに行ってください。
どれだけ走った後もどこか不安が残る場合には、気になる動作をきちんとならし運転しておくと安心です。